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体験版・女探偵・夏海静花の管理ファイル2 鳥越敦司

女探偵・夏海静花の管理ファイル2

 親子丼ください

 探偵とは浮気調査が主な仕事である。女探偵の
夏海静花は魅惑的な巨乳を持っている。年齢は
二十七歳、独身だ。
妻の浮気を調べて欲しい、と依頼する男性は少なく
ない。が、多くもないのだが、夏海静花はウェブサイト
を開設していて、そのプロフィールに自分の胸を写して
載せている。もちろん、服を着ているが薄い夏物の上着
だけなので、うっすらとブラジャーの形が見えている。
首から上は写していない。探偵である以上、当たり前の
話だろう。
そのプロフィール画像が男性の依頼客の関心を引き、調査を
頼まれる事もある。今回の依頼者もウェブサイトからの申し込み
であった。事務所に現われた男性は年齢五十いくつか、の
やせ細っている背広姿だった。背は高いほうだろう。
事務所内の個室の部屋で夏海静花は、依頼の相談を
受けた。
「妻はこの頃、どうも様子が変です。それで浮気しているのではないか
と思いまして。」
静花は大きな瞳を真っ直ぐに依頼者に向けると、
「奥様は、おいくつの方ですか。」
と丁寧に尋ねた。
「妻は、三十八ですね。中洲でキャバクラ嬢として働いていた
のが二十年前。その時、家内は十六だったんですが、二十歳
という事で働いていたんですよ。高校を中退してね。見かけは
二十歳でした。胸は大きいし、お尻も出ている。顔も大人びて
いましたよ。そういう妻だから、仕方ないとは思います。浮気が
確定しても、大目に見てやるつもりですけどね。」
静花は静かに微笑むと、
「奥様の携帯電話は、ご覧になりますか、ご主人さん。」
と尋ねてくる。
「え?携帯ですか。それが、見せてくれないのですよ。ロックが、
かかってましてね。」
これだけで静花は、その男性の妻が浮気しているのを確信
した。だから、
「奥様は浮気されていますわ。」
と判決を下すように静花は話した。依頼客は、
「ああ、やはりね。でも、相手は誰なんだろうな。それを知りたいの
ですよ。やはり調査をお願いします。」
「わかりました。さっそく、調査に入ります。」
静花は、依頼客に夫人の顔写真を持ってくるように指示する。
「パソコンを、お持ちでしたら、ここにメールで添付して送ってください。
それにはデジタルカメラで撮影したものが必要ですけど。」
「デジカメですな。ああ、それで撮影したものがあります。
それを送りましょう。」
「奥様の御歳は三十八歳ですか?」
「ええ、そうですね。でも、色っぽいし、若々しいです。男が
寄ってくるのも仕方ないけど。」
静花は声に出さない含み笑いをした。

依頼者は霧村商一、妻の名前は、菫子(すみれこ)だった。霧村商一
は福岡市西区で地ビールを製造している会社の社長だ。なんでも
江戸時代末頃からの老舗で、福岡の地元ビールとして知られる
メーカーなのだが、少量生産しか出来ないため、価格は高く
全国流通は今のところ無理ではある。購入客は福岡市内の
料亭、バー、なのである。最近では北九州や熊本にも販路を
広げている。
実は商一は妻の菫子が働いていたキャバクラにも地ビール
を届けていたので、その関係で知り合い意気投合、結婚
までしたのだ。
余談としては福岡市西区には即席ラーメンの製造工場もある。
福岡市西区の西側は今だ田園風景が続くところで、それよりも
東側のところに霧村商一は住んでいる。
地ビールの製造工場と地続きの家だ。霧村商一の両親は他界
したらしく、広い邸宅に商一と妻の菫子、娘の茜子が三人で
住んでいる。全国ブランドのビールの工場を小さくした感じの
工場で、煙突型の塔もある。

霧村が帰って一時間もすると、夏海静花のノートパソコンに
メールが届いた。そこには霧村商一の妻の菫子の写真画像
が添付されていた。
髪をカールさせた菫子は目が大きく、三十八には見えない
若さだ。三十代前半に見える。
(これでは、浮気しそうね。)静花は思わず、そう思った。

 福岡市南区井尻の静花の探偵事務所から霧村商一の家まで
車で一時間二十分ほど、かかる。その近くにJRの九大学研都市
という駅があるのだが、この駅は新しい駅で、東区箱崎にある九州大学
が西区に移転する事に合わせて作られた駅だというが、そこまで
霧村の家から歩いて二十分くらいで行ける駅なのだ。
駅の近くにはマンションや企業のビルなどが建つものだが、こういう
新しい駅は最初から計画的にマンションやビルが建てられていった。

というのも、この九大学研都市駅のあたりは農地帯だったので、農家
から広い土地を買い上げて駅とその周辺を作る事が、できたのだ。
その駅のすぐそばにイオンモールがあり、飲食店なども複数入っている。
九大学研都市駅が、出来る前はただの田舎の農地だったけど、
マンションやビルが林立しているのは都会の風景だ。ただ、南側
には小さな山が並ぶために、田舎という印象は幾分残る。

 そこから歩いて二十分の霧村商一の家の近くに、夏海静花は運転してきた
国産車を停めた。九大学研都市駅周辺とは違って、その辺はまだ、田舎の
風景とも言えて田んぼのあぜ道さえ見られる。ただ、ぽつぽつとマンションも
建設されて車も時々、通るため怪しまれて見られる事はない場所だ。
見通しの広い場所であるので、午後一時に霧村商一の家から赤い車が
出てくるのに静花は簡単に気づいた。彼女は車中でサンドイッチなどを
食べて待っていた。充分な距離をとって、菫子の赤い車を追尾する。

 赤の普通自動車はスピードを出して、九大学研都市駅の方向を走っていく。
鈴華は黒の国産車で余裕たっぷりに追跡している。普通は助手を助手席に
乗せているのだが、最近は仕事の依頼が増えたため、一人で今日は運転してい
るのだ。
やがて、林立しているビルが見えてきた。それは南の方向なので、霧村商一の
地ビールの家は九大学研都市駅の北にあるわけだ。
霧村菫子はイオンモールの駐車場に赤い車を停めると、中から出てきた。手には
ハンドバッグを持っている。静花も距離を置いて車を停めて、外に出る。菫子との距離を縮めるために速歩で静花は歩いて行くと、トン、と菫子にぶつかった。
はっと振り向く菫子に、
「ごめんなさい。つい、うっかりしていました。」
と静花は謝った。深く頭を下げる静花に、
「いいのよ、そんなに謝らなくても。気にしてないからね。」
と菫子は優しく声をかけると、イオンモールに歩き出した。

 それからまた、静花は菫子を距離を置いて尾行した。菫子
は、それに気づく様子もない。イオン地下の食品売り場で買い物を
するのにつきあうために、静花も買い物かごを手にして食品を見ながらも
菫子を見失わないようにした。
レジでは菫子との間に一人置いて並んだ。彼女の買い物籠には、少ない
食品が入っていた。
(三人家族のはず、だけど・・・)
静花は、さりげなく、そう思った。レジの係りは、その時間には珍しく男性
で若かった。ぎこちなくレジを打ちながらも、菫子をチラチラと見ているのだ。
どうやら菫子に関心があるようだった。もっとも、静花が買い物かごを出したら
静花の巨乳にも眼を走らせたのだが。

外に出て赤い車に菫子は戻ると、すぐに車を発車させた。静花も、ちょっと間を置いて
車をスタートさせると菫子を追跡する。田園風景の中を走る赤い車は、まっすぐに
古い日本家屋の霧村商一の家に戻ったのだった。(おや、まあ空振りだったけど、
収穫はあったから、まあ、いいか。)静花はハンドルを握ったまま、そう思った。

事務所に戻った静花は、ハンドバックの中から携帯電話を取り出した。それは、
霧村菫子のものだ。イオンモールの駐車場の近くで、ぶつかった時に素早く
手に入れている。それをUSBケーブルでノートパソコンにつなげて、携帯電話
のパスワード解析ソフトを起動させる。
すると、すぐにパスワードが分かったので、静花は霧村菫子の携帯電話の
メールを見てみる。すると、

こんにちは 親子丼が食べたいな

という件名のメールが来ている。着信は、今日の十二時半だ。本文は、

ぼくは、あなたの娘さんの茜子さんと、つきあってます。大学生なのに、
キャバクラに出てますよね。それで、そこのナンバーワンですから。
もう、茜子とはイイ仲なんです、ぼくは。茜子の体は、いただきました。
ベッドで聞いたんだけど、お母さんも昔、キャバクラでナンバーワン
だったそうですね。娘と母の二人をいただくことを親子丼というのですよ。

親子丼、ください。

という何か衝撃的な内容だった。その男からのメールは、それよりも前から
来ているのだ。ただ、それは出会い系サイトを通してのものではない。
何通かあるメールの一つに、

娘さんの茜子から、お母さんのメールアドレスが分かりましたよ。こっそり
ですが、メールさせてもらいます。

というのが、あった。

それらに対して返信したあとが、菫子の携帯電話にはなかったのだ。ということは
・・・・・。
浮気しているとも、していないとも言える。ただ、すでに男は菫子の娘の茜子と
肉体関係を持っているらしい。それに飽き足らずに母親の菫子とも関係を
持ちたい、と迫っているのだ。それならまだ、菫子との肉体関係はないことに
なる。これを浮気というべきか・・・。

霧村商一への報告書では、
奥様の浮気については、いまのところ肉体関係はないようです。
と静花は書いて報告した。

 翌日、静花の事務所の固定電話が音をたてた。事務所の中は静花、一人
なので、
「はい、夏海探偵事務所です。」
「あー、夏海さんですか。霧村ですけど。探偵事務所、とは結構、古いね。
今はカタカナの会社名が、はやっていますよ。ヤルエージェンシー、とか、
どうかな。うちの会社も福岡地ビール株式会社からフクオカビールに社名
を変更したんですけどね。」
「面白いですわね、検討してみます。奥様の浮気の件は、報告書に書いたとおり
ですが。」
「ええ、読みましたよ。なにか、納得がいきませんね。今時はメールとかでも、わかる
そうだけど、昔はそんなのなくても浮気してましたよ。」
「はい。それは、あのメールから見ても、メールの男性と浮気する可能性
は、あると思いますわ。」
「でしょう?だったら、そのメールの男を調べてもらえませんか。それから、
妻の普段の行動を尾行するという、やり方も続けて欲しいんです。」
「上増し料金が、かかりますけど。」
「いくらでも、かまいません。まさか、一億ってことは、ないんでしょう。」
「ええ、それは、そんなにはかかりませんけど。」
「だったら、やってくださいよ。」
「はい、それでは続けさせてもらいます。」
という事で、夏海静花の霧村菫子への調査は続行する事になった。

 霧村菫子の娘、茜子を調べてみる方が良さそうだ、と夏海静花は思った。
この茜子に男がいる事は、メールからでも分かる。静花は霧村商一に電話
した。
「はい、もしもし、霧村です。」
「夏海です。茜子さんについて調べたいのですが、ご住所など、お伺いしても
いいですか。」
「あ、娘の茜子ですね。大学は聖花女子大学の一年で、それは南区にあるもの
ですから、井尻駅の近くにマンションを借りてやっています。その部屋はですね、
南区井尻五丁目・・・。」
と、静花は霧村茜子の住所を聞き出したのだった。福岡市西区から南区は、少し遠いとはいえ、通学する女子大生もいるはずだ。茜子は裕福な家なのでマンションを借りてもらっているのだろう。
南区井尻なら夏海静花の探偵事務所もそうであるので、調査は近くで楽になるものだ。茜子の顔写真は、画像でメールに添付して霧村に送ってもらった。
なるほど、母に似て可愛い顔だ。すでに、あのメールの男とは肉体関係を持っているようだが、何か清純というより天真爛漫な感じのする娘である。目が大きく、顔は、ぽっちゃりとした感じだ。

そこで早速、夏海静花は霧村茜子の調査を開始した。聖花女子大学は井尻駅から徒歩で二十分のところにあり、したがって井尻駅は女子大生の通行で賑わう。
夏海静花は聖花女子大学の校門で、茜子の下校を気長に待っていた。午後四時になると、茜子は一人で校門から出てきた。それほど目立たない服装で、スカートは短めだった。母親に似て派手な容貌といえる。西鉄バスの停留所が聖花女子大学の正門前にあるという便利なものだ。
茜子は、バス停のベンチに腰かけてバスを待っている。自宅は井尻のマンションだから、帰宅するのにバスはいらないはずだ。どこへ行くのだろうか。その行き先は、静花には予想がついた。
車体に赤い線が入った西鉄バスが到着する。茜子の後ろから静花は続いてバスに乗り込んだ。天神経由博多駅行きだ。茜子はバスの真ん中の右側に座った。静花も、その後ろに座る。茜子の長い髪が、静花の目の前に見える。西鉄バスは前の乗客との間隔が狭い。茜子は化粧品の匂いがしなかったが、若い女性のいい匂いが静花の鼻腔に入り込んだ。
北上するバスには段々と乗客が増えてくる。二十分ほどで、三越のある天神の停留所では大量に人は降りていく。次にバスは右折して、直進する。三菱東京UFJ銀行のビルの前を通って、東に進む。さて、この天神というところは全国に支店がある会社の福岡支店が集中している。
五十メートル程度の川幅の橋を渡れば、中洲という九州最大の歓楽街に着く。といっても、ほとんど飲み屋、映画館が少し、キャバクラ、ヘルス、ソープなどがある。
ここで、会社員で福岡市に出張する場合、中洲のソープを利用する場合には、近くのホテルを選ぶとよいだろう。ソープの前には、やり手ババアが座っていて、声をかけてくれる。ソープは一角に集中していて、とびとびに点在はしていない。

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